ガラージュは秋元菜々美氏と共同で、2024年11月より福島県富岡町の夜の森地区に「上演が起きる場」を設計するためのリサーチ活動を開始しました。
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震およびこれに伴う福島第一原子力発電所事故によって、帰宅困難区域に指定された福島県富岡町の夜の森地区は、2023年4月1日に避難指示が解除されました。富岡町出身で震災当時中学生であった秋元氏は、現在街に戻り、さまざまなアーティストと共同した活動を行っています。
──明治期まで荒地であった夜の森地区は、戊辰戦争敗北後の東北の復興と近代化の夢の実現を目指した理想郷として1900年から農地開拓が行われ、その記念として植えられた桜は現在、富岡町のシンボルとなっている。原子力災害によって12年間バリケードで閉鎖され、再び荒地に戻りつつあるように見えた夜の森で、いま私たちはいかに土地の回復に臨めるだろうか。(2024年夏 秋元菜々美)
地震の被害に加え、原発事故により長期化した避難の影響と放射性物質の除染のために多くの建物が解体され、夜の森の大部分は更地の状態になっています。私たちは残された道路や水路、そして桜並木を手がかりに、街の記憶を読み解こうとしています。そして、この街で暮らした人々の語りと街の記憶が交差する地点を見つけることで、茫漠と広がる空き地にまた新たな暮らしを描いていくことができるのではないかと考えています。
企画:秋元菜々美、ガラージュ
リサーチメンバー:秋元菜々美・ガラージュ・大岩樹生(東京藝術大学大学院)・小野江安里彩(金沢工業大学)・吉武洋輔(横浜国立大学大学院Y-GSA)
調査協力:株式会社マルゼン商店(BAUM HOUSE YONOMORI)、株式会社YONOMORI DENIM、富岡町都市整備課、キヨスヨネスク
助成:経済産業省「地域経済政策推進事業費補助金(映像芸術文化支援事業)」ハマカルアートプロジェクト 採択事業(2024年11月〜2025年2月)