夜の森 穴火祭り

Yonomori Fire Burrow Festival.

秋元菜々美とガラージュは、福島県富岡町夜の森地区でのリサーチ活動を経て、「夜の森 穴火祭り」を開催しました。
夜ノ森駅周辺は、2011年の東日本大震災およびそれに伴う原発事故による放射性物質の除染のため、2023年まで帰宅困難区域となっていました。解除後も、地震による被害に加え、長期化した避難の影響により、多くの建物が解体され、現在はその大部分が更地となっています。
私たちはその場所で、これまでの暮らしの記憶を呼び起こしながら、人の営みが再び立ち上がる契機となる場の設計を試みました。穴を掘り、火を囲み、音を奏で、舞い踊るお祭りです。

Following our research activities in the Yonomori area of Tomioka, Fukushima, Nanami Akimoto and Garage held the “Yonomori Fire Burrow Festival.”

2026年2月8日

私たちが夜の森を初めて訪れたのは、解除から約1年半後の2024年の秋でした。
きっかけは、富岡町出身で震災当時中学生だった秋元菜々美さんからの、「上演が起きる場を設計できないか」という呼びかけでした。通うたびに建物は減っていきましたが、街のシンボルである桜並木や道は、今も変わらず残っています。

昨年度は、夜の森の道について調査を行いました。私たちが確認できた中で最も古い記録は、大正9年(1920年)頃の夜ノ森駅開駅前の様子を示した手書きの地図です。建物は4軒しかなく、街歩きの際には「最初は4軒の家しかなかったんだから大丈夫だ」という言葉も聞きました。道の歴史を辿ることで、この街の成り立ちが少しずつ見えてきました。

そうした時間の重なりの先に、この場所に灯りをともすような何かをつくりたいと思うようになりました。さまざまな出会いや偶然が重なり、穴を掘り、火を囲み、音を奏で、舞い踊るお祭りというかたちになりました。それが、これまでの暮らしの記憶を呼び起こしながら、人の営みが再び立ち上がる契機となることを願っています。

夜の森で人が集まる場を仮設的につくるとしたら、どのような設えがよいのだろうか――そのことを議論しました。さまざまな地域の広場や公共空間、祭りを参照する中で、東北の気候には、三内丸山遺跡に見られるような竪穴式住居のように、地面を掘り込み、その場をじっくりと温めるイメージがふさわしいのではないかと考えました。

土を掘ることは、それまでの土地の使われ方に直接触れることでもあります。長い間荒野であった土地が、近代の住宅需要によって開発されてきたこと。古代の土と近代の土が隣り合っていること。そして、放射性物質の除染のために表土5cmが剥ぎ取られ、客土がなされたこと。その積層の上に、今回の「夜の森 穴火祭り」のために、深さ30cm・直径23mの穴を掘ったという痕跡が重なります。地盤への影響を最小限に抑えるため掘削は必要最小限にとどめ、開催翌日には埋め戻しと転圧を行いました。地表は元の姿に戻りましたが、土の中には確かに、穴を掘って人が集まった記憶が刻まれています。

そして火は、人が集まる根源的な理由のひとつです。火を起こし、その周りで暖まりながら食事を囲み、語り合う。そうした営みを重ねるうちに、交流が少しずつ広がっていきました。今回の祭りは、小さな焚き火を囲んだ時間の延長線上にあります。

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Data

所在地:福島県富岡町

用途:祭り

会場面積:3469㎡

企画:秋元菜々美+ガラージュ

設計:ガラージュ

施工:宮建工業

踊り・衣装:山瀬茉莉

音楽:nolen

グラフィックデザイン:美山有

設営期間:2026年2月1日〜2026年2月7日

スペシャルサンクス:富岡町消防団、村井良一、遠藤一善、根本長一、鈴木みなみ、渡辺伸、株式会社エヌビーエス 東日本工場、松原悠也、SKANK/スカンク、塩見悠一郎、MEET YOUR ART FESTIVAL 2025、株式会社WOODPRO(以下、ガラージュインターン)小野江安里彩、原田馨子、八木美月、吉岡功記、大岩樹生、柴田達乃助

主催:秋元菜々美+ガラージュ

助成:経済産業省「地域経済政策推進事業費補助金(映像芸術文化支援事業)」ハマカルアートプロジェクト

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    ガラージュは秋元菜々美氏と共同で、2024年11月より福島県富岡町の夜の森地区に「上演が起きる場」を設計するためのリサーチ活動を開始しました。
    地震の被害に加え、原発事故により長期化した避難の影響と放射性物質の除染のために多くの建物が解体され、夜の森の大部分は更地の状態になっています。私たちは残された道路や水路、そして桜並木を手がかりに、街の記憶を読み解こうとしています。そして、この街で暮らした人々の語りと街の記憶が交差する地点を見つけることで、茫漠と広がる空き地にまた新たな暮らしを描いていくことができるのではないかと考えています。

    2024年11月〜

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